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作成日付と押印の日付が異なる自筆証書遺言の裁判例

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2022.01.31

作成日付と押印の日付が異なる自筆証書遺言の裁判例

遺言書に関する最高裁判例が判例時報2498号に掲載されていましたので、紹介させていただきます。代表的な遺言の方式として、公正証書遺言と自筆証書遺言が挙げられますが、紹介させていただく最高裁判例は自筆証書遺言に関するものです。

自筆証書遺言について

遺言書作成

自筆証書遺言をする場合は、遺言をする方(遺言者)が、遺言書の全文、日付及び氏名を遺言者自身で書いて、これに印を押さなければならず(民法968条1項)、その方式に従っていなければその遺言は無効とと解されています。(※なお、平成30年の民法改正で、平成31年1月13日以降に作成された自筆証書遺言については、一定の方式に従えば自筆証書遺言に自書によらない財産目録を添付できるようになりました。)

本件の事案について

本件は、平成27年4月13日、遺言者であるAさんは、入院先の病院において、遺言書の全文と日付(平成27年4月13日)と氏名を自分で書きましたが、その日には押印をせずに、退院後の同年5月10日に弁護士の立会いの下、Aさんはその遺言書に押印し、Aさんはその3日後に亡くなったという事案です。

原審の判断

原審では、本件遺言は、遺言書が成立した日(平成27年5月10日)と相違する日付(平成27年4月13日)が記載されているという方式違反があることから、無効と判断しました。

最高裁の判断

ところが、最高裁は、自筆証書遺言に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって直ちにその自筆証書遺言による遺言が無効となるものではないと判断し、本件遺言の有効性を判断するその他の事情について、さらに審理を尽くさせるために、本件を原審に差し戻しました。

コメント

この判決で本件遺言が有効と判断されたわけではありませんので、原審では、本件遺言が成立時点(平成27年5月10日)でAさんが遺言能力があったのか、同時点で遺言の内容がAさんの真意に沿うものか等が審理されて、遺言の有効性について判断されるものと思われます。

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